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昭和ノスタルジー②『年末年始の歌合戦』

December 9, 2019

 

 

 西鶴の『世間胸算用』には、大晦日の長屋に住む江戸町人の、人情や悲哀が生き生きと描かれている。

 狭くて貧しい長屋暮らしも、互いに助け合ったり、時には喧嘩もしながら、賑やかに年を越す様子は、羨ましいほどのコミュニティーだ。ネット注文での最高級のおせちを核家族で味わうよりも、味わい深く楽しいかもしれない。

 

 

 私が小学二年生まで育った、仙台の町はずれでの年末年始は、そんな雰囲気があった。

 細い路地に、向かい合わせで、同じ造りの家が軒を連ねていた。どの家も鍵もかけずに、親戚のように出入りしていた。

 米味噌醤油はもちろんのこと、多少の金銭の貸し借りまでしていたようだ。母からの仕送りをため込んでいたうちのばあちゃんのもとに、年末になると年越しのお金を借りに来る人たちがいたことを思い出す。お礼にと、自家製の沢庵や白菜づけ、干し柿や干し魚、煮物などをくれるので、大晦日の食卓は潤沢だった。

 

 東京オリンピックが開催された、昭和三十九年の大晦日。

 親戚や近所の人たちと一緒に、紅白歌合戦を見ながらお年取りをした。

 ばあちゃんたちの人気者は、何と言っても、三波春夫だった。

 秋に、町内会で聴きに行った県民会館でのワンマンショーの話で盛り上がる。

「村田英雄の時は、手も振ってくれながったのに、三波春夫はちがうっちゃねえ。何度もにごやがに『お客様は神様です』ってさあ、あだしのほう見で言うんだよぉ」「んでね、おれの方ば見でだがら」

「あ、いよいよ、春夫さんだ!」

 『東京五輪音頭』のイントロが流れる。歌う前から、お茶の間からは拍手喝さいが起こる。

♪オリンピックの顔と顔、ソレ、トトントトトント、顔と顔ぉ~♪

 サビになれば、もう大合唱だ。

 

 年が明けて、最初の登校日。町内の小学生たちは、一年生から六年生まで誘い合って、雪化粧した田んぼや畑を通りながら、五十分もかけて小学校へ向かう。

 白い息を吐きながら、きょうからまたみんなで登校できる嬉しさに、胸はずませたものだ。

 ヒューッと北風が吹いてきた。すると、だれかが歌いだす。

♪きたーかぜ、ふきぬくー、寒いー朝も♪

 吉永小百合とマヒナスターズの『寒い朝』だ。

 つられてみんなも歌いだす。

 ふと、バス停のそばの塀に貼られていた眼帯をつけた吉永小百合のポスターを思い出す。

 浜田光夫との共演『愛と死を見つめて』の映画のポスターだ。子ども心に(吉永小百合って、なんてきれいで清らかな人だろう)と憧れていた。

♪マコ、甘えてばかりでごめんね……♪

 切ない思いをこめた声で、歌が流れてくる。

 歌い終わると、橋幸夫と吉永小百合とのデュエット曲『いつでも夢を』が始まり、次に、ザ・ピーナッツの恋のフーガ』をだれともなく歌いだすと、

♪追いかけて、追いかけて…♪ 

文字通りの歌の追いかけっこが、雪野原に響いていく。

 ♪なみをチャプチャプ、チャプチャプ……♪

『ひょっこりひょうたん島』の大合唱が終わるころには、小学校の建物が見えてきた。

 あっという間の五十分。寒さなんてなんのその、紅白歌合戦年明け登校の巻である。

「ほしたら、また帰りも歌うっぺな」

「んだね、帰りにねー」

  歌合戦で、すっかり温まった赤いほっぺたの子どもたちは、それぞれのクラスに駆けていった。

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