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昭和ノスタルジー③ 春になれば

March 23, 2020

 

 春になれば、素足になる。

 これが、幼年時代から高校生までの私のルーティンであった。

 

 霜柱を踏んで歩いた通学路に、ぽちぽちっととタンポポが咲きはじめる。淡い青空から小鳥のさえずりが聴こえ、街路樹が芽吹いてくる。風が春のにおいを運んできたら、厚い靴下は脱いでしまいたくなるでしょう(現在は、夏でも靴下を離せないけど)。

 春一番が吹きだしたら、必ず素足になって出かけた。風が絵筆のように、素足を撫でていく。春って、なんて気持ちがいいんだ!

 キャンディーズのヒット曲『春一番』にもある。

 

♪重いコート脱いで、出かけませんか。もうすぐはーるですねえ、恋をしてみませんか♪

 

 そう、春はコートや靴下だけでなく、人の心の厚着もはがしていく。こんな不穏な世の中になってしまったけれど、春には、何か始まる予感と期待があり、心身がぬくもっていく。

 青春期ならなおさらである。高度成長期からバブル期にかけて青春真っただ中だった私にも、甘酸っぱい春の思い出がある、その当時の歌とともに。

 

 十八歳の春、古郷仙台から上京した私は、期待と不安で胸ふくらませていた。太田裕美の『赤いハイヒール』の歌詞にある少女のように、お下げ髪をして新宿の街でまず買ったのが、赤いハイヒールだった。

 

♪ねえ、友だちなら、聞いてください。淋しがり屋の打ち明け話♪

 

 この歌詞の通り、大都会、東京で一人新生活を始めるにあたり、期待の反面、怖くて淋しくてドキドキが止まらなかった。そんな気持ちを払拭するように、ソバージュパーマをかけ化粧をして、白いフレアスカートを春風にひるがえし、赤いハイヒールをはいて銀座の歩行者天国を闊歩した。

久しぶりに会う友だちに「洗練されて、きれいになったね」と言われ、なんだか都会の女性になった気がして誇らしかったが、帰宅するとどっと疲れて、靴擦れが痛くて涙が出てきた。そんな時、なぜか口ずさんでいたのが、イルカの『なごり雪』だった。

 

♪なごり雪も降る時を知り、ふざけすぎた季節の後で、今、春が来て、君はきれいになった。去年よりずっときれいになった……♪

 

 歌詞のリフレインがフェイドアウトしていく感じが、たまらなく好きで、せつなくなる自分に酔っていた。

 

 二十一歳の春、帰仙して広瀬川河原を散策した。小学校のころから、悲しいことやたまらないことがあるたびに、高く伸びた草をかき分けて、清流のほとりにきていたっけ。水の流れを眺めながら、流行歌を口ずさむと、ゆっくりと心が落ち着いてきたんだよね。などと思いだす。

 せせらぎを聴きながら、よく歌っていたのは、いしだあゆみの『ブルーライト・ヨコハマ』、小川知子の『初恋の人』だったなあ。

 小学校五年生から高校までずっと想っていた初恋の人に失恋したのも、このすぐそばの図書館前のベンチだった。

 あれは、高校二年の春だった。勇気を出して告白すると、「ごめん、(中学から付きあっている)彼女のことが今も好きだから」と返ってきた。玉砕。

 その時、柏原芳恵の『春なのに』という曲が、頭の中を駆け巡った。

 

♪春なのに、お別れですね。春なのに、春なのに♪

 

 春は、雪解けで押し流されていく清流のように、恋も学業も仕事も家庭も……『はじまり』と『別れ』、『終結』と『新たなスタート』の時であるのかもしれない。

 とにもかくにも、コロナ騒動が一日も早く終息してほしい。新たな清流が日本中、世界中をめぐっていってほしいと祈るばかりだ。

 はじまりの時に鎮座することの大切さも身に染みる。谷川俊太郎が『はる』という詩の一説でこう書いている。

 

『はるのひととき わたしは 神さまと しずかな はなしをした』(二十億光年孤独より)

 

 神さまに静かに話しかけていると、こんな歌が聴こえてきた。

 

♪春になれば しが(氷)こもとけて

  どじょっこだの ふなっこだの

  夜が明けたと おもうべなー♪

 

 コロナの夜が 明けますように! どじょっこやふなっこが安心して泳ぎ回り、子どもたちを喜ばせる春となりますように!

 

(2020・春分の日に・光丘真理)

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